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粟根まことの

未確認ヒコー舞台:UFB 

第十一回「着到板」

「シレンとラギ」大阪公演の幕が無事にあがりました。このまま7月頭まで続くのですからそれはそれは長い旅路です。公演期間が長いと、よく「飽きませんか?」と訊かれます。今回は70ステージ近くありますし、稽古から数えれば同じセリフを何百回と言っているコトになりますから。まあ確かに、正直、飽きるという一面はあります。しかし、舞台というのは生モノでして、意外と毎回新鮮に取り組めていますよ。同じセリフを同じように言っていても、何か新たな発見があるモノです。その場で発生しているドラマのうねりに乗っかってしまえば楽しくなるもんです。

さて、そんなワケで毎日劇場に通っているわけですが、演劇界では劇場に入ることを「着到する」と言います。到着じゃなくて着到。ちゃくとう。逆さまですね。これは別にギョーカイ風に逆さまに言っているワケではありません。ザギンでシースー。ギロッポンでブシャブシャ。ツェーマンゲーセン。テッペン回るとケツカッチンなんでナルハヤで。ギョーカイ用語も面白いのでいつか書いてみたいですね。
辞書で「着到」を調べてみると「到着と同じ意味」なんてことも書いてありますが、まあ意味はほぼ同じです。でも実は結構古い言葉なのですよ。
鎌倉時代の日記にも「着到」という単語が、出仕した役人の帳簿という意味で出てきますから、今で言うタイムカードのようなものでしょう。また、中世の戦争で、召喚に応じて集まった武将が提出する「着到状」というものがあり、コレによって後日の恩賞などが決まったといいますから、これもまた出仕の証明のようなものです。
このように古い言葉なんです。強いて区別すると、到着は「着いたという結果」を表し、着到は「来ましたよという事実」を表す、ってトコロじゃないでしょうか。

で、歌舞伎の世界では、座頭が楽屋に入った時に演奏されるお囃子のコトを差し、そろそろ始まりますよという合図だったそうです。そして現在の演劇界では、俳優たちが劇場に入ることを着到というようになったというワケ。
翌日の着到時間はその日の舞台終演後、舞台監督から発表されます。開演前に舞台稽古が行われる場合もあるので、着到時間は日によって違います(特に公演序盤)。なので、俳優たちは帰り際に「明日の着到、何時だっけ?」みたいな会話を交わすのですが、公演も中盤を過ぎると落ち着いてきて、大体数時間前に固定されます。とはいえ、突発的に稽古や修整があることもあるので、毎日、翌日の着到時間を確認してから帰らないといけません。うっかり遅刻するとみんなに迷惑をかけますからね。特に新感線では罰ゲームが待っているので油断できません。

着到時間は部署によって違います。準備に時間の掛かる演出部や床山部は早めですし、比較的準備の楽な音響部などはちょっと遅めです。一番遅いのは俳優部ですね。すみません。なので、楽屋口に各部署の着到時間が書かれた表が張り出されています。

IMG_3447.jpg

これを見て帰らないと大変なことになるのは先ほど書いた通り。でもちょいちょい見落としちゃったりするんだけどね。
あと、楽屋口には大抵掲示板みたいなのがあって、制作さんから色々な告知とか注意とかが貼り出されているので、これも読んでおいた方がよいですね。

IMG_3450.jpg

このように楽屋口には色々なものがありまして、神棚も楽屋口にありますからとても大事なのですが、次に大事なのが「着到板」。これは、全スタッフキャストの名前が書かれた札でして、言ってみればタイムカードに当たるモノ。大抵表が黒字で裏が赤字。着到した時に黒字にして、帰る時に赤字に裏返します。これを見ればその人が着到しているかどうかが判るのです。

IMG_3448.jpg

遅刻者がいないかどうかを判別するものなのですが、歌舞伎のように一日かけて長い演目を上演する場合、俳優によって出番が違い、当然着到時間も違うので、この着到板を見てちゃんと来ているかを確認します。一般の演劇でも、制作さんが確認し、もし着到時間になっても着到板が黒字になっていない場合、電話連絡をするんですね。こういう場合、大抵寝過ごしている場合が多いのでして、つまり遅刻です。

でもタダの遅刻なら何とかなりますが、一番心配なのが事故などによる遅延です。そういう心配がありますから必ず連絡を入れるのです。
以前、昼公演があるのに夜公演だと勘違いして来なかった俳優がいました。現在だとケータイがあるから連絡が取れまして事なきを得たのですが、もし無かったら、あるいは電波の届かない場所にいたらと思うとひやひやモノですね。

また、現場によっては「着到時間」と「入り時間」を区別する制作さんもいたりします。これまた微妙なのですが、他にも「スタート時間」と言ったりもしますし、よく判らなかったりもしますから、ちょっと早めに入ったりもします。その方が安心だったりもしますが、早すぎると劇場さんに迷惑だったりもしますから難しいところです。
まあそんなワケで、同じ着到時間なのに結果的に入る時間は人によってまちまちだったりします。とにかく、無事に本番が出来れば大丈夫なんですけどね。じゃ、私も明日の着到時間がありますから、そろそろ寝ますデス。ではでは〜。

粟根まこと

粟根 宣材

あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。演劇ぶっくコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。
・・・・・・
次回予定◇劇団☆新感線2012年春興行 いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』4/24〜5/14◎梅田芸術劇場、5/24〜7/2◎青山劇場


コラム「粟根まことの人物ウォッチング」掲載の「演劇ぶっく」6月号 全国書店にて5月9日発売!
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